占い師を育てるのに、マネージャー経験が役立った話

学び舎記

占い師を育てるのは、カードの意味を教えることだと思われるかもしれません。

もちろん、カードの知識は必要です。

けれど、何人もの生徒を教えてきて感じるのは、カードを理解することと、人の相談を受け止められるようになることは、まったく別の話だということです。

そして、人を育てるという点では、私が経験してきたマネージャー業務が、思いのほか役に立っています。

同じことを教えても、つまずく場所は違う

生徒には、それぞれ性格があります。

理屈がわからないと先へ進めない人。

一度つまずくと「自分には向いていない」と落ち込んでしまう人。

知識はあるのに、自信が持てずに言葉が出てこない人。

質問すること自体が苦手な人もいます。

同じ教材を渡し、同じ説明をしたからといって、全員が同じように理解できるわけではありません。

だから私は、講座を始める前の面談を大切にしています。

知識や経験の有無を確認するだけではありません。

どんな考え方をする人なのか。何に不安を感じるのか。どんなところで立ち止まりそうなのか。

そして、私の教え方と、その人の学び方が合うかどうか。

これから長い時間をかけて一緒に取り組むのですから、講師と生徒の相性も無視できません。

面談は、単に入学を決めるための手続きではないのです。

その人をどう育てていくか、考え始めるための時間でもあります。

カードの意味より、背景にあるものを知ってほしい

私がタロットを教えるとき、大切にしていることがあります。

それは、カードのバックボーンを理解することです。

カードに描かれた人物や象徴には、神話や伝承、歴史、思想など、さまざまな背景があります。

意味だけを暗記しても、なぜその絵が描かれているのかを知らなければ、解釈は表面的なものになりがちです。

以前、ある生徒から「わからない」と泣き付かれたことがありました。

そのとき私は、カードに登場する人物や、その背景にある物語を説明する資料を作りました。

気が付けば、22ページ。

我ながら、ずいぶん作ったものです(笑)。

でも、それは答えを丸暗記してほしかったからではありません。

意味を覚えるのではなく、意味が生まれた背景を理解してほしかった。

背景がわかれば、初めて見るカードにも、自分の頭で向き合えるようになります。

占い師として必要なのは、覚えた答えを繰り返すことではなく、目の前の相談に合わせて考え、言葉にする力だからです。

「向いていない」と言い出す生徒を、どう支えるか

教えていると、知識とは別の壁にもぶつかります。

わからないから投げ出したくなる。

うまくできないから、向いていないと嘆く。

そんなとき、講師が「頑張りなさい」と言うだけでは、どうにもならないことがあります。

何がわからないのか。

知識が足りないのか、考え方が整理できていないのか。それとも、失敗するのが怖いのか。

まず、そこを見極めなければなりません。

必要なら説明の仕方を変えます。資料を補うこともあります。できている部分を本人に気付かせることもあります。

ここで活きるのが、マネージャーとして人を見てきた経験です。

人にはそれぞれ、力を発揮しやすい環境や、つまずきやすい場面があります。

全員に同じ言葉をかければよいわけではありません。

ただし、何でも代わりにやってあげればよいとも思っていません。

支えることと、甘やかすことは違います。

手を貸すのは、いつまでも手を引いて歩くためではありません。

いずれ、自分の足で立ってもらうためです。

基礎を動画にしたのにも理由がある

何人も教えるうちに、指導方法も変わってきました。

共通して学んでほしい基礎的な部分は、動画にまとめています。

何度でも見返せますし、自分のペースで理解を深めることもできます。

その一方で、一人ひとり違う課題には、個別に時間を使いたい。

特に、実際の相談をどう受け止め、どう言葉を選ぶかという部分は、知識を伝えるだけでは身に付きません。

だからこそ、ロールプレイングを重視しています。

カードの意味を知っていることと、相談者を前にして適切に対応できることの間には、大きな距離があります。

その距離を、一緒に埋めていくのが講師の仕事だと思っています。

高い受講料をいただくからこそ

私の講座は、決して安いものではありません。

だからこそ、受講する方には本気で取り組んでほしいと思っています。

そして私も、全力で向き合います。

ただ、本気で取り組むからこそ、壁にぶつかることもあるでしょう。

思うようにできず、心が折れそうになることもあるでしょう。

そこで一人きりにしたくはないのです。

できないことを責めるのではなく、何が妨げになっているのかを一緒に考える。

必要なときには励まし、必要なときには厳しいことも伝える。

それでも、最終的に答えを出し、相談者と向き合うのは本人です。

講師がいつまでも隣で答えを教えるわけにはいきません。

だからこそ、自分で考え、自分で判断できる占い師になってほしい。

人を育てる仕事に、近道はない

振り返ってみれば、占い師の育成とマネージャー業務には、共通する部分がたくさんあります。

相手をよく見ること。

できることと、まだ難しいことを見極めること。

その人に合った方法を考えること。

そして、簡単に見放さないこと。

もちろん、教える側にも忍耐力が必要です。

ときには22ページの資料を作る羽目になることだってあります(笑)。

けれど、試行錯誤を重ねたからこそ、今の指導方法にたどり着きました。

私が育てたいのは、カードの意味をたくさん暗記した人ではありません。

相談者の言葉を受け止め、自分の知識と判断で向き合える人です。

一人で立てる人を育てる。でも、一人にはしない。

それが、私の考える占い師の育成です。

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