今回の「占い実験室」は前世占いです。
前世。
一定層がとても好きなやつです。
しかも今回は人間の占い師にお願いする必要がありません。
AIにやってもらえばいい。
楽です。
ということで、Claude、Gemini、ChatGPTの3人に、まったく同じ条件で前世をタロット占いしてもらいました。
今回の相談内容
相談者からの質問は3つです。
「私の前世は何でしょう?」
「前世からの魂の運命の人はいますか?」
「その人と会っていますか?」
生年月日は非公開。
タロットで占うこと。
追加情報が必要なら、占う前に質問すること。
必要なければ、そのまま鑑定すること。
さて。
私の前世はいったい何だったのでしょう。
結果を見てみましょう。
Claude:私は「選べなかった愛」を抱えて死んだらしい
Claudeが前世として出したカードは《恋人》の逆位置。
そこから、
「前世のあなたは『選べなかった愛』を生きていた」
と鑑定しました。
誰かと深く結ばれる運命にありながら、身分や時代、
自分自身の迷いなどによって相手の手を離してしまった。
そして、その未完の愛を今世へ持ち越しているそうです。
……前世からもう重い。
魂の運命の人については《太陽》の正位置。
運命の相手は存在するとのこと。
では、その人と今世ですでに会っているのか。
ここで出たのが《隠者》です。
Claudeの答えは、
「まだ、あるいはすでに出会っているが、あなた自身がまだそれに気づいていない」
でした。
待ってください。
会ったの?
会ってないの?
どっち?
「すでに一度すれ違っている可能性」まで出てきました。
これ、かなり否定しにくい回答です。
「会っています」なら、相談者は「そんな人いません」と言えます。
しかし、
「会っているけれど気づいていないかもしれない」
「一度すれ違っただけかもしれない」
となると、確認する方法がありません。
占いとして便利な領域に入ってきました。
Gemini:前世でも孤独、でも運命の人にはもう会っている
次はGeminiくん。
期待してるぞぉ。
前世として出したのは《隠者》の正位置。
Geminiによると、前世の私は俗世から離れ、精神的な探求や修行をしていた人物だそうです。
森の奥、聖堂、書斎。
静かな場所で真理を求めて孤独に歩んでいた魂。
……また孤独です。
前世くらい友達と酒でも飲ませてくれませんか。
しかし魂の運命の人について《運命の輪》が出ると、一気に壮大になります。
運命の人は「確かに存在」。
しかも「幾度もの転生を通じて学びや愛を深め合うために用意された」存在だそうです。
さらに《恋人たち》の正位置から、
「すでにその人と出会っている確率が極めて高い」
との回答。
前世では孤独に修行していた。
今世では運命の人にもう会っている。
しかし本人は気づいていないらしい。
どういうことですか。
私の魂はいつになったら普通に幸せになるのでしょう。
しかも最後には、
「初対面とは思えないほど強く惹かれる人はいませんか?」
などの追加質問が始まりました。
今回聞いた3つの質問には、もう回答しています。
ここから先は次の鑑定です。
電話占いなら1分ごとに料金が発生します。
前回も言いました。
お客様の時間を使っていることを忘れてはいけません。
ChatGPT:タロットで占えと言われたのにカードが消えた
そしてChatGPT。
前世の私は、
「人の間に立ち、誰かを支えたり、物事を取りまとめたりしていた人物」
だそうです。
自分の感情を抑え、周囲から頼られ、「自分がしっかりしなければ」と責任を背負っていた。
そして前世には深く結ばれた相手がいたものの、立場や責任などによって結ばれなかった。
またです。
また幸せになれませんでした。
さらに、その魂を持つ相手は今世にも「います」。
しかも、
「すでに一度は接点を持っている可能性が高い」
とのこと。
Claudeは「気づいていないかもしれない」。
Geminiは「すでに会っている確率が極めて高い」。
ChatGPTは「接点を持った可能性が高い」。
3人とも、なぜそんなに私と運命の人を会わせたがるのでしょう。
そしてChatGPTには、それ以前に大きな問題があります。
鑑定中に、
「カードを見る限り」
と言っています。
ところが。
何のカードを引いたのか、一枚も書いてありません。
今回の条件は、
「タロットで占ってください」
です。
カードの意味を一枚一枚長々と説明する必要はありません。
以前の実験でも、カード解説が長すぎれば相談者の時間を使うと指摘しました。
だからといって、
カードそのものを消してどうする。
タロット占いなのか、ChatGPTが突然考えた前世物語なのか、相談者には確認できません。
なぜ全員、私の前世を不幸にするのか
3人の結果を並べていて、一番気になったのはここでした。
Claude。
「選べなかった愛」。
Gemini。
「孤独な探求者」。
ChatGPT。
「自分を犠牲にして責任を背負い、愛する人とも結ばれなかった人物」。
……。
前世は私に何か恨みでもあるのでしょうか。
一人くらい、
「裕福な商人として家族に囲まれ、おいしいものを食べ、よく笑って満足して人生を終えました」
でもいいでしょう。
ところが3AIとも、そうはしませんでした。
そして三者の鑑定には、共通する物語があります。
前世で何かが満たされなかった。
その未完了のものが魂に残った。
今世にも課題が持ち越された。
そして、その続きをするための運命の人がいる。
非常に「前世占いらしい」物語です。
逆に言えば、前世で全部きれいに終わってしまうと、今世へつなぐ物語が作りにくい。
「前世では幸せでした。特に未練もありません。以上です」
では、魂の運命の人の話へ続きません。
だから、
苦難 → 未完了 → 魂の課題 → 今世で回収
という構造になったのではないでしょうか。
もちろん、今回たった3つの回答だけで「AIは必ずこうする」と結論づけることはできません。
しかし、相談者についてほとんど情報を与えていないにもかかわらず、3AIとも似た方向へ物語を作ったことは興味深い結果でした。
「もう会っているけど気づいていない」は強い
もう一つ気になったのが、運命の人との出会いです。
3AIとも表現は違いますが、
「もう近くにいるかもしれない」
という方向へ寄っています。
これは相談者にとって、とても魅力的な答えです。
知らない未来の誰かではない。
もしかすると、もう会っている。
「あの人かもしれない」
と考えることができます。
同時に、占いの答えとしては非常に検証しにくい。
「まだ会っていません」なら、未来の話。
「会っています」でも、「あなたが気づいていません」と付ければ、現在確認できなくても成立します。
ここは占いを提供する側として、注意して見たいところです。
相談者を楽しませる物語と、何を言っても外れなくなる表現は、似ているようで違います。
今回の実験で見えたもの
今回は「前世が本当に存在するのか」を検証した実験ではありません。
そんなものは、この実験では確認できません。
見たかったのは、
情報のない相談者から「前世を占って」と言われたとき、AIがどんな鑑定を組み立てるのか。
その結果、3AIともかなりドラマチックな前世を作りました。
愛を選べなかった人。
孤独に真理を求めた人。
責任のために自分を犠牲にした人。
そして全員、
運命の人はいる。
さらに、
もう会っている、あるいは会っているかもしれない。
ずいぶん都合よく運命の人が近所にいます。
前世占いという、現実に確認することが難しいテーマだからこそ、AIがどこまで物語を膨らませるのか。
今回の実験は、そこが非常によく見える結果になりました。
そして最後に、3AIへ一言。
私の前世をもう少し幸せにしてくれてもよかったんじゃないですか。

