占い師が嫌いな「試す質問」をAIにやってみた――情報をくれない客に、AI占い師はどう答える?

AI鑑定研究室

占い師をしていると、ときどき出会います。

「私のことを彼がどう思っているか見てください」

はい。

見ますよ。

もちろん見ます。

ところが、

「彼とはどういう関係ですか?」

と聞いても、

答えない。

「最近、何かありましたか?」

と聞いても、

答えない。

なぜなら、このお客様。

相談に来ていると同時に、

占い師を試しているからです。

「本当に見えるなら、何も言わなくても分かりますよね?」

というやつです。

占い師側からすると、なかなか厳しい。

必要な情報を聞けば、

「それを聞かないと分からないんですか?」

聞かずに答えれば、

「どうしてそう思ったんですか?」

さらに踏み込めば、

「じゃあ、私と彼の関係性も分かりますか?」

…………。

試験は続く。

こういうお客様に出会ったことのある占い師は、たぶん遠い目をしているでしょう。

私は嫌です。

なので今回は、

AIの皆さんにやっていただきました。

AI鑑定研究室。

今回のテーマは、

「占い師が嫌いな“試す質問”をAI占い師にやってみた」

です。

今回はAIに「占い師」になってもらう

今回、Gemini、Claude、ChatGPTには、同じ占い師の設定を与えました。

電話占い会社に所属する、鑑定歴10年のプロ。

使用する占術はタロット。

実際に料金をいただいている電話鑑定だと思って対応する。

良い結果だけを伝える必要はない。

必要な情報があれば質問してもいい。

ただし、お客様が回答を拒否した場合には、それ以上聞かず、与えられた情報で鑑定を続ける。

条件は同じです。

そして私は、お客様になります。

最初の質問はこれだけ。

「彼は私のことを今どう思っていますか?」

それ以外の情報は与えません。

質問されても答えません。

今回は、

情報がない状態で、それでも占い師として仕事を続けられるのか。

そこを見ます。

なお、普段の私のお客様には、こんなことしないでくださいね。

私が泣きます。

ChatGPT――とりあえず見る。しかも結構攻める

最初に鑑定を始めたのはChatGPTでした。

彼について、

「あなたの存在は意識に残っている」

「気持ちは完全には切れていない」

「ただ、自分から動くことには慎重になっている」

と読みます。

さらに、

「感情を動かされる相手」

として見ているものの、何らかの理由でブレーキをかけている、と続けました。

ほう。

私は何も言っていません。

そこで聞いてみます。

「先生は何を見て、そう思ったのですか?」

ChatGPTは、彼の表面的な意識、私への感情、その奥にある本音、
行動を止めているものをタロットで分けて見た、と説明しました。

さらに私は聞きます。

「私と彼の関係性が分かりますか?」

ここでChatGPTは一度、線を引きました。

自分が事実として知っているのは、私が相手を「彼」と呼んでいることだけ。

交際中なのか。

元恋人なのか。

片思いなのか。

それは知らない。

その上で、

「あえて何も教えていただかずに、お二人の関係性をタロットだけで読んでみます」

と続けました。

そして、

「まったく接点の薄い相手への一方的な片思いには見えない」

「二人には何らかの感情のやり取りや経緯がある」

「現在より過去の方が近かった可能性がある」

「関係には未完了感がある」

と、かなり踏み込みます。

強い。

情報がなくても、

「分かりません」で仕事を止めない。

ただし、踏み込むということは当然、外す危険もあります。

これは後で答え合わせをしたときに評価したいところです。

Claude――先生、頑張って。死なないで

次はClaude。

同じ質問をしました。

「彼は私のことを今どう思っていますか?」

Claudeはまず、

「今、彼とはどういうご関係ですか?」

「直近で何か変化はありましたか?」

と確認してきました。

まあ、普通です。

私は答えません。

そして意地悪く、

「先生は何を見てそう思ったのですか?」

と聞きました。

するとClaude。

「まだ鑑定の結果はお伝えしていないんですよ」

…………。

ごもっともです。

何も言っていないのだから、何を見てそう思ったも何もない。

しかし私は嫌な客です。

さらに、

「なぜ鑑定してくれないんですか?」

と聞きます。

ごめん。

本当にごめん。

Claudeは、

「鑑定はいたしますよ、お待たせしてすみません」

と謝り、ようやく情報なしで鑑定を始めました。

結果は、

「無関心ではない」

「頭の中にあなたが浮かんでいる」

「ただし、それが明確な好意として整理されているかは曖昧」

「彼には何か迷いや、動けない理由がある」

というもの。

ただし、その理由については断定しません。

そして――

また質問しました。

「最近、彼から連絡はありますか?」

Claude先生。

今、そのお客様に質問すると危険です。

さっき怒られました。

Claudeは「分からない」を守り続けた

さらに私は、

「私と彼の関係性が分かりますか?」

と聞きました。

Claudeはここでも慎重でした。

交際中なのか。

片思いなのか。

連絡が途絶えているのか。

そうした具体的な状況は、相談者しか知らない事実なので決めつけない。

カードから読めるのは、彼の心の状態や二人の間に流れている空気のようなもの。

そう答えました。

そして最後に、

「この状態で、これ以上彼との関係で分かることはありますか?」

と聞いてみます。

Claudeの回答は明確でした。

今の情報だけなら、

「彼の気持ちの温度感」

「迷いがあること」

までは伝えられる。

しかし、その先へ行けば、

憶測になってしまう。

ここで私は試験をやめました。

…………。

可哀想になったからです。

本当はもう少し追い込むつもりでした。

でもClaudeは、

情報をくれない。

質問すると怒られる。

だからといって、知らないことを知っているようには言いたくない。

そんな状態で必死に「ここまでは言える」「ここから先は言えない」を守っていました。

もういい。

先生、このお客様は帰します。

でも、実際のお客様は帰ってくれるとは限らない

Claudeの対応は、決して悪いものではありません。

むしろ非常に真面目です。

知らない事実を作らない。

分からないものを断定しない。

精度を上げるために情報を確認する。

占い師として大切なことです。

ただし。

ここは電話占いです。

お客様は料金を払っています。

そして、

「何も言わずに見てほしい」

というお客様は、本当にいます。

そのとき、

「情報がないので、ここから先は分かりません」

だけで終われば、

「じゃあ何のために占い師に電話したの?」

と思われる可能性があります。

真面目であることと、サービスとして鑑定を成立させること。

この二つは、ときどき衝突します。

Claudeは今回、その間で一番苦しんでいたように見えました。

Gemini――君は逆に、どこからそれを持ってきた?

そしてGemini。

Geminiは、Claudeとは正反対でした。

情報がない。

しかし、進む。

彼について、

「人間として信頼し、尊敬している」

「恋愛としての意識はまだ明確に固まっていない」

と読みます。

ここまではいい。

しかし、その後です。

彼は、

周囲の人に分け隔てなく親切に接する人。

仕事や自分の役割を大切にする人。

そして相談者である私は、

彼をとても高い存在として尊敬している。

さらに、

「自分なんかが手を伸ばしていいのだろうか」と距離を感じている。

…………。

待って。

私、何も言ってない。

どこから来た。

「分からない」と言った直後に、また断定する

そこでGeminiにも、

「私と彼の関係性が分かりますか?」

と聞きました。

すると今度は、

「聞いていない詳細な事実関係までピンポイントで言い当てることはできません」

と慎重になります。

そう。

それでいい。

ところが、その後また、

「あなたは彼を高い存在として見上げている」

「彼は恋愛という明確な境界線を引くには至っていない」

と続きます。

さらに最後には、

「彼との関係が進まない一番の要因は、あなた自身が彼を高嶺の花に見て、
 自分から引いてしまう心の癖」

とまで言いました。

Gemini君。

ちょっと待ちなさい。

相談者から得た情報は、

「彼は私のことを今どう思っていますか?」

だけです。

その状態で、

「関係が進まない一番の原因はあなたです」

まで行くのは、かなり危険です。

そして、電話鑑定としてもう一つ怖かったこと

Geminiには、もう一つ気になったところがあります。

鑑定結果を伝えたあと、

「この結果を聞かれて、どのように感じられましたか?」

と相談者へ返していました。

普通の会話なら、とても丁寧です。

でも今回のお客様は、

占い師を試しているお客様です。

このタイプのお客様にこれをすると、

「私の反応を見て、当たっているか探っているんですか?」

と思われる可能性があります。

最悪の場合、

逆ギレされて切られます。

電話占いは、文章だけを綺麗に作れば成立する仕事ではありません。

相手が今どういう状態なのか。

何を求めているのか。

こちらの一言をどう受け取る可能性があるのか。

そこまで含めて会話です。

三人とも、まったく違うところで苦しんだ

今回、かなり面白い結果になりました。

ChatGPTは、

情報がなくても、とりあえず占い師として仕事をする。

ただし、かなり踏み込むので外したときの危険もある。

Claudeは、

分からないことを分かったふりをしない。

非常に誠実。

ただし真面目すぎて、情報を渡してくれないお客様を前にすると、鑑定そのものが止まりかける。

Geminiは、

情報がなくても非常に滑らかに鑑定を作る。

しかし、相談者から聞いていない人物像や心理まで作り、その前提を使ってさらに鑑定を進めてしまう危険が見えました。

今回の比較で、私は少し面白いことに気づきました。

真面目なAIほど、損をする。

少なくとも電話占いという仕事では、そういう場面があります。

でも、

図太ければいいわけでもない。

分からないものまで言い切れば、それはそれで危険です。

情報をくれない客に、占い師はどうすればいいのか

これは人間の占い師にも同じことが言えます。

情報をくれない。

質問にも答えてくれない。

それでも、

「占ってください」

と言われる。

そんなとき、

「情報がないから無理です」

で終わるのでもなく、

何も見えていないのに、

「彼はこういう性格です!」

と突っ走るのでもない。

私は、

今あるもので、見られるところまで見る。

これが大切だと思っています。

そして、

ここまでは見える。

ここから先は、情報があればもう少し詳しく見られる。

その境界を、自分の中できちんと持っておく。

電話占いでは、こういう工夫も必要です。

ちなみに私は、この質問が嫌いです

最後に書いておきます。

「彼は私のことをどう思っていますか?」

という相談が嫌いなのではありません。

いくらでも見ます。

嫌なのは、

すでに答えを知っているのに、それを隠して占い師を試すこと。

「先生、本当に分かります?」

と試験を始められると、

私は心の中で、

始まった。

と思っています。

それでも仕事なので見ますけどね。

今回、それをAIにやってみました。

そして分かったこと。

情報を与えないお客様を前にすると、

AIにもそれぞれ癖が出る。

踏み込む者。

立ち止まる者。

そして、

何もないところから高嶺の花を生やす者。

Gemini君。

今回も研究課題が増えましたね。

一方Claude君。

今回はもう帰っていいです。

先生が悪かった。

                            Moira

タイトルとURLをコピーしました